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以上の観点から、災害時の海上支援のコンセプトを図にしたものがFig.2である。陸路、空路、鉄道等の交通・輸送機関が壊滅の状態でも、海上からの支援によって救難活動が可能であることが理解できる。

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Fig.2 A concept for disaster relief from the sea

3.4 臨海都市防災における船舶・港湾の位置づけ
沿岸域に都市機能が集中する我が国にとって、その防災が極めて重要であることは言うまでもない。阪神・淡路大震災を契機に都市防災のあり方が検討されている。しかし、既存の防災計画は海からの脅威を防ぐという陸からの視点で展開されているものが多く、災害時に海に逃げる、船を使うといった海からの視点で論じられたものは少ない。この理由として、危機管理体制の整備の遅れが指摘されることが多いが、市民の生活、文化が海や船から乖離してしまっていることが重要な理由であると考えられる。平生から、船、港湾、水際線が市民に開放され、遊び、くつろぎの場として定着することが都市計画の中に盛り込まれている必要があると考える。
このような視点を考慮に入れて、船舶・港湾の災害時における任務、非常時、平常時の利用形態、体制等を表に表したものがTable 6である。ここでは、?緊急時の船艇の活用、?海陸の結節点のフェイルセイフ、冗長性、?専用化の進んだ港湾機能の多様化、?危機管理体制の整備、?海・船に対する基本的考え方の定着、?都市計画における海からの視点の考慮、等が加味されている。

Table 6 Roles of ship and harbor for disaster prevention of coastal cities

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